[ name ] 猪高台の家
[ location ] 名古屋市名東区
[ completion date ] 2006/03
[ design ] 笹野空間設計 笹野直之 園田博和
[ award ] 第19回 すまいる愛知住宅賞 名古屋市住宅供給公社理事長賞 受賞
[ design concept ]
 建物の用途が「自分の家+親の家+自分のアトリエ」ということもあって、多方面から様々な検討を繰り返し、検討は発散する一方であったが、最終的には単純な軸組みの中に生活空間の領域を仕切っていく方法を採り、余分なものを削ぎ落とした形に纏めることができた。またこの方法により、将来の家族構成の変化にある程度対応できると考えている。

 輪郭から順を追って説明すると、まず敷地形状から南部分の駐車スペースを除いた平面形状をそのまま立ち上げたボリュームとした。屋根は北側斜線制限により低く抑えられた北側から南に向かうにつれて高くなる片流れの形状とし、冬の日光を部屋の奥へと導く。また各世帯に一つづつ合計"二つの中庭"を設け、風や光の通り道とした。
 中庭は各世帯のアプローチ、デッキ、庭として機能する。パーティーなどイベントの際にはサッシを開放し、この二つの中庭デッキと二つの吹抜リビングさらに東棟のエントランスが繋がり東西方向に"ボイド空間が連結"することで、静かなプランに躍動感を与えることを狙っている。
 南面を覆う"木製の格子"は、住宅全体に纏まりを持たせると同時に、冬の日光を受け入れつつ夏の日差しを遮ること、通風を保ちつつ外からの視線を和らげることを意図している。
 透明感のある南面に対して東棟(アトリエ)はマッシブなボリュームとし、"コントラスト"を効かすと共に、必要に応じて開けた一見ランダムな開口により、外部や内部に対して心地よい意外性を与えている。

 次に、内部空間について説明すると、東棟の内部は吹抜となった階段ホールを挟んで"3段のスキップフロアー"が続いている。このため"床面積以上の広がり"を感じることができる。A世帯(親世帯)のリビングでは吹抜を介してB世帯のオープンスペース(子供用)と一体の空間となっている。B世帯のリビングは小上がりになった畳の間から滑らかにキッチン、ダイニングへと繋がる。ここでも"5段のスキップフロアー"とし、家族の営みにおける"広がり感や繋がり感"を丁寧に扱うことを心掛けた。

 整然とした平面の中に活気のある生活空間が展開していくことを期待している。
[ structure ] 木造 地上2階
[ total floor area ] 256.86u (77.7坪)
[ contractor ] 中島工務店
[ photo ] 車田写真事務所