築20年の店舗併用住宅のリノベーション。親世帯（50代のご夫婦）と子世帯（息子さん）が暮らす住宅の計画です。
　既存建物は鉄骨造。外壁はＡＬＣパネルであったため、建物の性能を損なわないよう、既存の開口部を生かしながら内部空間の計画を進めました。西面中央の店舗入口だった大きな開口部は、ガラスドアをシャッターに変更し、建物の中心にビルトインガレージを計画しました。そのガレージを挟んで、子世帯と親世帯の生活エリアが南北に分かれています。親世帯は、西の大きな窓に面してLDKを配置。キッチンの背面収納の一部は洗面脱衣室に通じるランドリールームとし、コンパクトな生活動線を計画しました。子世帯は、既存建物の十分な天井高さを利用して、立体的な個室空間をつくりながら収納スペースを充実させました。
　外観にシャープな印象を与えているアルミルーバーは、西側の大きな開口部から入る西日と、プライバシーを調整しています。また、外部に面する壁と居室の床下には断熱を新たに施工し、断熱性能を向上させています。
　鉄骨造の店舗らしい、天井の高いシンプルな大空間だった既存建物を、親世帯と子世帯、それぞれの生活に沿うように、平面的にも立体的にも空間を丁寧に検討しながら分節していきました。それぞれの空間が伸びやかで遊び心のある、新築の計画とは違った味わいの、個性的な空間とすることができました。