[ completion date ] |
2009/04 |
[ design ] |
笹野空間設計 笹野直之 伊藤睦子 |
[ design concept ]
■新聞店兼住宅として建てられた築54年木造建築物のリノベーション
既存の建物は、名古屋市の中心部に程近い繁華街の一角にあり、大通りに面して木造2階建の建物が建っていました。築54年の建物は老朽化が進んでおり、取り壊しを検討する方が合理的とさえ思える程でした。オーナーからの要望は、耐震改修をすること、既存のファサード(道路側の立面)を保存すること、知人・友人が多目的に使える場所にすることの3つ。安全に使える空間として一新したいとのことでした。
■設計のアプローチは、第一に耐震改修の計画から着手
ファサードの大きな開口とホール、会議室の大空間はこの建物の魅力的な特徴でしたが、一方で構造上の一番の弱点でもありました。そこで、ホールと会議室は正形の大空間を残し、その周辺の階段室や倉庫スペースに筋交と耐震壁を追加し耐震性能を向上させる方針としました。この方針は同時に機能面にも有効であり、階段の勾配を緩くしたり、倉庫等のサブスペースを整えたりと、大空間の使いやすさを向上させることができました。
また、既存の外壁は印象的な青い2丁掛タイル貼りでしたが、剥落の危険があり改修する必要がありました。改修では既存のタイルを腰高程度まで貼り、上部は青みのあるガルバリウムを用い、既存建物のイメージを残したまま安全面、機能面を改善させました。
工事中も完成後も、足を止めてこの建物を眺めていく方が多く見られます。改修によって建物自体の寿命を延ばすことができ、これからも地域の皆さんに愛され、使われ続けていくことを期待します。
[ total floor area ] |
182.81u(55.30坪) |